報道関係

2009年(平成21年)1月16日(金曜日) 山陰中央新報
真理子さんが事故当時、身につけていた着衣を前に、講演する江角由利子さん
 自動車学校へ通い、運転免許取得が間近となった出雲工業高校の3年生を対象に、9年前に悪質な交通事故で娘・真理子さん(当時20)を亡くし、「生命のメッセージ展 in 出雲」の実行委員として奔走してきた江角由利子さん(60)を迎えた人権・同和教育講話が、13日同校であった。同校人権同和教育部の主催。
 同校3年生200人を前に、江角さんは、真理子さんが事故当時身につけ、事故の衝撃や救命のために切り裂かれた着衣を公開。また、真理子さんが亡くなるまでの様子が克明につづられた救命治療にあたった病院の院長からの手紙や、生前真理子さんから送られたファックスを紹介した。
 事故後、真理子さんを思う気持ちからリサイクルショップで購入したというウェディングドレスを示しながら、親としての複雑な心境を語り、「被害者にならない努力は難しい。しかし、加害者にならない努力はいくらでもできる。車を走る凶器にしないで」と訴えた。
 生前、真理子さんから送られたという「子どもの幸せは親の幸せ。親の幸せは子どもの幸せ。お父さん、お母さんの子どもでよかった」と書かれた手紙を読みあげた江角さんは、メッセージ展を振り返りながら、「メッセージ展は真理子からの(還暦の)プレゼント。感謝の気持ちでいっぱい」だと現在の胸の内を明かした。
 そして、真理子さんの中学校の同級生で、Jリーグ大宮アルディージャのGKとして活躍する江角浩司選手(30)を例に挙げ、「夢や希望は思い続け、叶えるための努力をすればいつかは叶う。夢を叶えるための条件は、生きていること。命を断ちきらないで、次世代へつなげていってください」と生徒たちに呼び掛けた。
 講話を聞いた三代純平さん(17)は「車は便利な乗り物だけど、危険な乗り物にも変わる。現実に事故が起きている。自分だけは、事故が起きないと思わずに、しっかりとした意識をもって運転していきたい」と感想を話した。
 また、今年6月のNHK杯全国放送コンテストに出品するため、生命のメッセージ展の準備段階から密着取材を続けた同校放送部の岡本卓也さん(17)は「被害者の方の思いを伝えたい。観た人、それぞれに考えをめぐらせ、心の中に留めてほしい」と話す。
 

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