報道関係

2008年(平成20年)9月25日(木曜日) 鷹の澤新聞
 「生命のメッセージ展 in 出雲」が、9月12日から14日までビッグハート出雲で開かれた。テーマは「ビッグハート(やさしいこころ)に包まれて」。新聞部は取材に行き、交通事故や殺人などで理不尽に命を奪われた人々の想いを受け止めた。皆さんにも、この記事を通して生命の重みについて考えてほしい。(E1y)
取材に応える、実行委員長の江角弘道さん
 「こういうアート展に来るのは初めて。自分にも家族がいるのでみんなが幸せになれるようにしたい。ここにおられる遺族の方々は大変で、自分もそうなったら大変だろう。加害者は、自分が逆の立場だったらどう思うのだろうか」「人々は思いやりで救われる。全ての人々が心に優しさを持っていれば、このような理不尽な死は起こらないだろう」これは来場者の声だ。皆、131体の犠牲者の等身大パネルからの声無き声に耳を傾け、生命の尊さを感じていた。そして出口で、生命への愛おしさを赤い毛糸に託してつなげていた。この1本10cmの毛糸は、全国の来場者の想いをつなげた直径50cmの毛糸玉となり、『生命のメッセージ展』を象徴している。
 実際に大切な人を失ったご遺族の方や、このアート展を支えるスタッフにも話を伺った。
 その中のひとり、江角さんは、今回のアート展の主催者であり、ご自分の娘さんを飲酒運転の暴走車に正面衝突されて失った方である。このメッセージ展の持つ意味を伺ったところ、「生命の大切さを考えてもらうため、生命が大切で尊いものはみんな当たり前だってことはわかっている。しかし、本当に大切だとわかるのは失ってからだ。だから、自分の大切な人を亡くしてしまった遺族が話すことによって、大切さを知ってもらうメッセージ展だ」と語った。
心を込めて赤い毛糸を結ぶ
 では、私達、高校生・若者は何をすればいいのだろうか。「自分の命は自分一人のものではない。親はもちろん友達や親戚などいろんな人達に関わって、今の自分がいることを忘れてはいけない。自分が死んでしまうとその関わった人達全員悲しんでしまう。それは、他の人達も同じだ。だから、自分の生命も他の人達の生命も大切にしなくてはならない。どんな理由があっても死んでいい命なんてありはしない。」と江角さんは言う。自分たちの大切な娘を失った江角さんだから言える、メッセージだと感じた。
 また、スタッフの石倉さんも「自分が生きている、この当たり前のことの、かけがえのなさを知ってもらいたい」と語っていた。
 今回の『生命のメッセージ展』を通して、「生命を大切にすること」を改めて学んだ。当たり前のことだが、例えば人に向かって冗談にも「死ね」などと言わないこと。言われた人は、大なり小なり、心が傷つくはずだ。ましてや「死ね」と言った相手が本当に死んだら、冗談ではすまない。
 「死ね」と簡単に言う人は、そこにナイフがあればその人を殺すのか。そこに拳銃があれば何のためらいもなくその人に向かって引き金を引くのか。打たれた人から流れる血を見て、満足するのか。言葉によって流れる血もある。生命の重みを知る人間は、そこまで気づかなければならないと私は思う。(A)
メッセンジャーのオブジェに見入る来場者たち
 

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