報道関係

2008年(平成20年)9月13日(土曜日) 山陰中央新報
出雲で生命のメッセージ展
事件や交通事故に巻き込まれて亡くなった人の、等身大のオブジェに見入る来場者=出雲市駅南町、ビッグハート出雲
 交通事故や犯罪などの被害者の人形(ひとがた)を通して命の尊さを訴える「生命(いのち)のメッセージ展in出雲」が十二日、出雲市駅南町のビッグハート出雲で始まった。全国の百三十一体が遺品や遺族のメッセージとともに並び、来場者は無念の死を遂げた、それぞれの「命」と向き合っている。十四日まで。

 同展は、理不尽に生命を奪われた犠牲者が主役のアート展として、二〇〇一年から全国各地で開かれており、島根県内では初めての開催。飲酒運転事故の被害で九年前、成人したばかりの娘を失った同県斐川町の江角弘道さん(63)を実行委員長に、遺族や有志によって実現させた。

 開会セレモニーで、江角さんは「百三十一体の声なき声を聞き、命の重さを感じ取ってほしい」とあいさつ。生命のメッセージ展の代表を務める神奈川県座間市の鈴木共子さん(59)は「ここにいるのは生きたくても生きれなかった人たち。会場に来て、生きることの素晴らしさ、生命の賛歌に触れ、生きることは大変ではないんだということを感じてほしい」と来場を呼び掛けた。

 会場には、等身大の人形のオブジェに、遺族がつづった思い出や事故や事件当時の新聞記事、靴や帽子などの「生きた証」を添えて展示。一メートルに満たない幼子のオブジェもあり、来場者は同じ目線に合わせるようにひざを折り、在りし日の姿に思いを巡らせた。

 会期中は、突然息子を失った鈴木さんをモデルにした映画「0(ゼロ)からの風」も上映されている。十三、十四日とも午前十時半と午後三時からの上映で、映画鑑賞券は千円。同展は午前九時半から午後六時まで。
 

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