報道関係

2008年(平成20年)9月4日(木曜日) 読売新聞
命の大切さ訴えるハート
出雲高生がフェルト作品
命の大切さを感じながらハート形の作品を仕上げる高校生と遺族(出雲市今市町の県立出雲高で)
 飲酒運転による交通事故に巻き込まれ9年前に亡くなった、共に斐川町出身の江角真理子さん(当時20歳)と大谷知子さん(同21歳)を追悼し、命の大切さを訴えようと、2人の母校の県立出雲高(出雲市今市町)の生徒たちが3日、ハート形の作品を制作した。遺族が「後輩たちに命の意味を感じてほしい」と働きかけ、同高の文化祭の催しとして実現。完成した作品は12日に同市駅南町のビッグハート出雲で開幕する、交通事故被害者らの遺品展「生命(いのち)のメッセージ展」で披露される。14日まで。

 交通事故や犯罪被害などで命を落とした132人の家族らが赤いフェルト生地で手作りした、約3500個のハート(2〜8センチ)を両面テープで白いシートに張り付け、縦、横約3・3メートルの大きな赤いハートをかたどった作品で、「生きている命」という意味が込められた。

 作業開始の午後2時には、会場の昇降口に生徒たちが集まり始め、約500人の生徒や教職員が参加して、約3時間後に完成させた。

 友人やすべてのクラス担任教諭に参加を呼びかけて回った2年石川裕絵さん(16)は「夢を持っていた先輩を奪った悲惨な事故を忘れないという気持ちを込めた」と話し、1年熊河真秀さん(15)は「普段は命の意味を考えなかったけど、良い機会になった。みんなの思いを形に残せてうれしい」と話した。

 制作には、亡くなった2人の母親も参加。大谷浩子さん(52)は「元気に生きていることが親孝行だと子どもたちに伝わった。知子と真理ちゃんもきっと喜んでいるはず」と涙を見せ、江角由利子さん(60)は「こんなに多くの人が参加してくれるなんて、信じられない。一人ひとりが命の意味を感じてくれたはず」と喜んだ。
 

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