報道関係

2008年(平成20年)5月20日(火曜日) 日本海新聞
亡くなった3人の写真や靴などが展示されている。左から江角由利子さん、大谷浩子さん=19日、鳥取市の鳥取大学付属図書館
 「あと一秒タイミングがずれていれば、と今でも思う」−。一九九九年十二月、鳥取県智頭町市瀬の国道53号智頭トンネルで、福岡県出身の大庭三弥子さん=当時(21)ら、軽乗用車の鳥取大学の女子学生三人が亡くなった。飲酒運転の乗用車に正面衝突されたことが原因。尽きない悲しみを抱える遺族が「娘が生きていたことを伝えたい」と鳥取大学付属図書館(鳥取市湖山町南四丁目)で、生前の写真や靴を展示する「ミニ・生命(いのち)のメッセージ展」を始めた。三十日まで。
 百六十センチほどの等身大のパネルが三枚、横一列に並ぶ。足元の赤いハート形のクッションに「ミヤコ21、マリコ20、トモコ21」と書かれている。名前と亡くなった時の年齢だ。
 島根県出身、江角真理子さんの母、由利子さん(60)は「自分たちの家族が交通事故で死ぬなんて絶対に起きないと思っていた」と話す。

 どうして出掛けたのか、家にいれば良かったのに、と今も思うことがある。だが、後悔にさいなまされながらも、生きていることは普通のことではなく、特別なことだと感じるようになったという。
 島根県出身の大谷知子さんの母、浩子さん(52)も「亡くなったことで伝えられることがあるとすれば、生きているだけで十分ということ」と話す。
 飲酒運転については「加害者にとっても取り返しのつかないことになると気付いてほしい。一人の犠牲者も加害者も出したくない」と涙を浮かべる。
 展示会で事故を知ったという同大三年の清水菜菜美さん(21)は「まだ若くてこれからという時期だったのに…。飲酒運転の犠牲になるなんて理不尽」と声を詰まらせた。
 

報道関係へ戻る >>