|
毎日のように遺族とメールで連絡をとる由美子さん |
飲酒運転の車にはねられ昨年5月に亡くなった広島市安佐南区の崇徳高2年三浦伊織君=当時(16)=の母由美子さん(41)が、同様にわが子を奪 われた出雲市や福岡市の母親たちと連携し「飲酒運転ゼロ」の訴えの輪を広げている。悲劇は二度と起こさせない―。厳罰化を求める署名集めや、裁判傍聴など を通して支え合う。
昨年12月、兵庫県加西市で、皆既月食の観測に出掛けた小学生の兄弟が飲酒運転の軽トラックにはねられ死亡した事故。起訴された自動車運転過失致死罪などではなく、危険運転致死罪を適用するよう検察に求め、署名約200人分を集めた。知人や崇徳高に協力を求めたという。
この署名活動は、1999年に東名高速で娘2人を亡くした千葉市の井上郁美さん(43)たちから聞いた。飲酒運転事故の遺族や支援者でつくるネッ トワークに参加する出雲市の江角由利子さん(63)や、福岡市の山本美也子さん(43)とも知り合い、メールなどを通じて毎日のように連絡を取るように なった。
江角さんは「遺族は孤独。寂しくて、分かってほしい相手を探している。その苦しさは遺族同士だから分かり合える」。近所や職場で見せられない感情も、遺族同士だからこそ吐き出せるという。
1月24日、伊織君を亡くした事故で、危険運転致死罪が認められ懲役10年の判決が出た裁判員裁判。公判中は広島地裁の傍聴席に井上さんたち3人 がそれぞれ駆け付けた。被害者参加制度で意見陳述などをした由美子さんは「初めての裁判で不安も大きかった。仲間が傍聴席にいると思っただけで支えになっ た」と振り返る。
さまざまな機会をとらえて飲酒運転の悪質さを訴えたい。母親たちの気持ちは一つだ。由美子さんは「社会の意識を変え、被害者も加害者も出さない世の中にしたい」と連携を強める。 |