報道関係

2011年(平成23年)1月11日(火曜日) 島根日日新聞
 十一年間の思いを歌にーー。地元鳥取県米子市を中心に音楽活動を続ける「ori-zuru(おりづる)」のKAORIさん(39)と千鶴さん(42)が、1999年12月26日に鳥取県智頭トンネルで悪質な飲酒運転の犠牲になった江角真理子さん(当時20歳)
=斐川町=、大谷知子さん(当時20歳)=同=、大庭三弥子さん(当時21歳)=福岡県=の母親らの心の叫びを歌にした、追悼歌「ホタル」がこのほど完成した。


追悼歌「蛍」に聞き入る江角由利子さん
■追悼歌「蛍」

季節はずれの蛍の光 私の横を通り過ぎてく
クリスマスツリーを見るたびに
あなた達の笑顔 思い出す
あれから月日が過ぎて
突然 目の前から消えた
あの時から時間が止まり
探し続けていた
何年 経っても癒えない 心の闇かかえて
あなた達が生きた証しを 伝え続けるから
あなたは 永遠に いつもそばにいるの
みんなの心の中に 生きているから
生き続けているから
 昨年11月21日、益田のグラントワ小ホールで開かれた益田西口ロータリークラブ主催の「いのちを考えるコンサート」の際、「ミニい生命のメッセージ展」として参加していた真理子さんの母・江角由利子さんとの出会いがきっかけで誕生した同曲。
 同コンサートの帰路、同じ汽車となった江角さんから、真理子さんが亡くなってから11年間の母親としてのやりきれない思いを聞き、「亡くなった今、どんどん忘れられている。何か残せたら」、「歌が支えになれば」とKAORIさんが作詞、千鶴さんが作曲を手がけた。
 曲は、ピアノが得意だったという大谷知子さんの好きだったショパンの幻想即興曲の旋律を盛り込んだ、優しく、包み込むようなバラード。歌詞には「みんなの心の中に 生きているから 生き続けているから」と生命のメッセージ展で全国を飛び回り、命の大切さを訴え続けている江角さんらの思いがつづられている。
 同曲のデモテープは、三人の命日に江角さんら遺族のもとに届けられた。江角さんは「歌はとても影響力があり、長く心に残るもの。命日が今までは憂鬱でしたが、この曲の誕生で、新たな命が産まれたという感じ。記念日になりました。真理子からのクリスマスプレゼントのよう。講演でも、この曲を流していきたい」と歌に聞き入っていた。
 歌詞を手がけたKAORIさんは、「生きていることが、当たり前ではない。生かされている。彼女たちは亡くなったけれど、みんなの心の中に生きている。この曲を生で伝えていきたい」。
 作詞を手がけた千鶴子さんは、「遺族の方が元気が出るような曲をと思い、作りました。とても、難しかったが、喜んでいただいて良かった。生きているだけでも、すごいことだということを伝えたい」と話す。
 同曲は、今春CD化を予定している。
 

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