報道関係

2009年(平成21年)6月27日(土曜日) 島根日日新聞
 
亡き娘のオブジェと江角由利子さん
 犯罪や事故などで命を奪われた被害者の等身大のオブジェを通して命の尊さを見つめなおしてもらおうと、出雲市東林木町の鳶巣コミュニティセンターで二十二日から、「ミニ生命(いのち)のメッセージ展」が開かれている。
 静かな音楽が流れる会場には、二十五命の等身大パネルが並び、犠牲になったその詳細とともに、足元には生前、犠牲者が履いていた靴や、愛読書などが「生きていた証」として置かれている。
 初日の二十二日には、不登校の子どもたちが通う同市今市町の「すずらん教室」の生徒十七人が訪れ、無免許運転の暴走車によって亡くなった息子と、その厳しい現実と闘い続ける母親の姿を描いた映画「〇(ゼロ)からの風」を鑑賞した後、同展を見学した。
 二十五命のオブジェを、一つひとつ食い入るように見つめていた子どもたち。見学を終えて「人間は死んでからも人の心の中で生きていることが分かり安心しました」「とにかく素晴らしかった。もう一度見たいので、今度は母と来ます」などと話し、オブジェを通して語りかけてくるメッセージに心を打たれた様子。
 会場では、十年前、悪質な飲酒運転の犠牲となった斐川町の江角真理子さん(当時20歳)ら三人のパネルも展示されており、すぐ隣にはピンク色のウエディングドレスが飾られている。
 「事故に遭わなかったら、娘は結婚し、子どもにも恵まれて幸せな日々を送っていたかもしれない」と母の由利子さん。パネルには「どうしてもあなたに着せてやれなかった後悔から、思わず買ってしまいました。真理子のウエディングドレス姿を見たかった。…も一度会いたい… 母より」と由利子さんの手記が記されている。
 オブジェ展は二十九日まで(午前九時〜午後五時)。映画上映会が二十七日の午後一時三十分、二十八日は午前九時三十分と同午後一時三十分からある。映画終了後、江角由利子さんが「生命のメッセージ」と題して話す。
 

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